依存症の原因 離脱症状とは?

アルコール依存症からの回復を難しいものにしているのは、『離脱症状』と言われる心身に現れる不快な症状です。昔は『禁断症状』などと言われ、手がブルブルと震えるなどの症状が有名ですが、正式名称は離脱症候群といい、症状も手の震え以外にもさまざまなものがあります。

アルコール依存症となった患者の多くは、診断が下るよりずっと前から離脱症候群を経験しており、その不快な症状を緩和するためにアルコールに手を伸ばすといった状況がずっと続いています。それがさらに離脱症状を深刻化させるという悪循環に陥ってしまい、自力で抜け出すことを困難にしていると考えられています。

離脱症状は、肉体的にも精神的にも身体に大きなダメージを与えます。このため、身体を守ろうとする防衛本能として、自らの意志とは関係なく無意識にお酒に手を伸ばす、などの行動をとってしまう場合もあります。

断酒によって離脱症状が見られるということは、依存症はかなり進行しているものと考えられますが、離脱症状に対し自らの意志のみで立ち向かうのは非常に困難で、専門の医療機関に相談することは非常に大切です。

離脱症状との戦い

断酒を初めると、早ければ数時間で離脱症状が見られます。
症状としては細かい手足の震え、発汗、イライラ、不安感、不眠、こむら返りなどが見られ、音や光に敏感になります。
幻聴や幻覚、全身のけいれんなどが見られる場合もあります。
初期に現れるこれらの症状を早期離脱症状という場合もあります。

この状態は約3日間程度続き、その間は一睡もしないといった不眠の症状も見られます。
依存症患者さんにとって、早期離脱症状は最も苦痛が強い状態であり、何としてもこの事態だけは避けたいために、依存を認めず頑なに病院に行くことを拒否し、時には暴力を振るってでも避けようとします。
また、早期離脱症状の間は他人に対する暴力的行為が見られる場合もあります。そのため、隔離が可能な病院で入院治療をする必要があります。
早期の離脱症状の後、後期離脱症状と言われるものが発現する場合もあります。
大量の虫が布団に入ってくる、身体をネズミが這い回っているなどの幻覚症状や、悪魔の声が聞こえるなどの幻聴、日常の仕事をしているかの動作を黙々と続けるといった行為が見られますが、多くの場合、早期ほどの苦痛はないとされています。
この状態は2日から1週間程度続く場合もありますが、この時期を通して全くの不眠という人も珍しくありません。
その後、終末睡眠と言われる深い睡眠状態に入り、目覚めると離脱症状は治まり、すっきりします。
なお、離脱症状が抜けた後も不眠が続くこともあります。離脱後、1ヶ月は睡眠障害と闘う覚悟が必要と考えられています。

依存症患者の多くは、自分がアルコール依存症だという自覚がなく、依存症は別名『否定の病』とも言われています。この傾向は、症状が進行すればするほど高くなり、治療が困難となるのです。
しかし、離脱症状が抜けた直後は、自身の症状について冷静に見つめることが可能な時期と考えられていて、この時期を逃さず断酒のための治療を開始することが大切と考えられています。
アルコール依存症は、自分自身だけでなく、家族など周囲の人間すべての人生に多大なダメージを与え、最終的には何もかも失って孤独のうちに死亡する可能性の高い、非常に恐ろしい病気です。
異変に気付いたら、早めに治療を開始することが何よりも大切です。


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